Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

雪信花匂

清原雪信。


狩野探幽四天王の一人である久隅守景の娘である、狩野派の閨秀画家。
短編集「乾山晩愁」の中で唯一の女性主人公だ。

 

私は以前サントリー美術館で開催された、「逆境の絵師 久隅守景展」において久隅守景の絵と、本作主人公の清原雪信の絵を鑑賞した。狩野派では珍しい閨秀画家でもあり、源氏物語を画題とするなど他の狩野派絵師との作風の違いが印象的で、鮮明に記憶に焼き付いている。

 

物語には、久隅守景展で展示された守景の代表作「納涼図屏風」も登場し、登場人物の嗜好の表現や、狩野派における守景らの立ち位置を表現するのに一役買っている。(私は残念ながら、会期を逃してしまい鑑賞する機会を逸してしまったが)

 

雪信花匂では、江戸期の狩野派画家達のしがらみ・確執を雪信の視点から描いており、無論雪信もその中に組み込まれていく。そのような中で雪信も、探幽や守景の薫陶を受け、絵師としての自立の道を見出していくのだ。

 

女性ならではの視座で、人間間の愛情を描ききった作品だ。

 

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久隅守景 「納涼図屏風(部分)」

 

乾山晩愁 (角川文庫)

乾山晩愁 (角川文庫)