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Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

武士の碑

主人公は村田新八
同著者の「死んでたまるか」の主人公 大鳥圭介の死生観とは対を成す作品だ。
一言でいえば「男には死なねばならない時がある」というのが村田新八の死生観である。

武士の碑(いしぶみ)

武士の碑(いしぶみ)



「武士の碑」の舞台は西南戦争である。
その黎明期から終焉までを、新八がパリで過ごした日々の述懐を間に挟みながら描ききっている。
西南戦争というと近代戦であり、凄惨なイメージが強い。
中盤読みづらくなることもあるかと思ったが、パリでの回想(創作)を挟むことによりそれが緩和され、読みやすかった。

ところで私は、西南戦争モノの小説は司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読んだことがある。
翔ぶが如く」は文庫版で全10巻あり、司馬遼太郎の最長編の小説となる。これと比較すると、流石1冊にまとめてあるだけあり、切り捨てているシーンが多いという印象をもった。
にもかかわらず、重厚な読み応えがあったのはその切り捨て作業が適切であったからであろう。西南戦争の推移といった点でいえば、むしろ「武士の碑」の方がわかりやすい。


映画的な映像感があり面白く読める、著者の長編作品の白眉ではなかろうか。