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Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

復讐鬼

書評 戦国 レビュー 王になろうとした男

ーーわしは一介の茶人だ。兵も武器も持たぬがゆえ、出てくる知恵があるはずだ。
誰もいなくなった陣所の床几に腰掛け、村重は、いっこうに降りやまぬ雨の音を聞いていた。 p.179



復讐の鬼となった男、荒木村重が主人公。
本作は作者のストーリーテリングが光る出色の作品。

荒木村重という人物は個人的に好意を抱けない人物であったが、本作のストーリー展開が面白く、興味深く読めた。

ところで、“男シリーズ”の『国を蹴った男』の中には、本作と強くリンクしてくる作品が収録されている。本作ではその反対の立場であるため、既読の人はさらに楽しめる作品ではなかろうか。

さて本小説では、“戦国時代に生きるとは何か”という問いが作品を通して醸し出される。
荒木村重が感じ取った、“戦国時代に生きる人の条件”とは。また、“それを超克するとはどういうこと”なのか。
これらの解答もひとつ楽しめ、虚無恬淡とした読後感が味わえた。