Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

毒を食らわば

ーーわしはやってやる。織田家に仕える限り、毒だろうが薄濃の酒だろうが、飲み尽くしてみせる。p.103



『果報者の槍』とは対を成す作品。
出頭(出世)競争に計策(外交交渉)でのし上がった男、塙直政が主人公。

「馬廻衆からわずか十五年余りで、織田家中の最高位に就くという信じがたい出頭」p.110を成し遂げた人物である。
にもかかわらず、直政の名前は現在知るものが少ない。
なぜそうなったのかは、本小説に詳しい。


さて、小説の塙直政だが、時を経る毎に織田信長マキャベリズムに触発されていくふうに読める。
特にマキャベリの『君主論』にある、「結果さえ良ければ手段は常に正当化される」というそれだ。

小さな偽りから始まり、徐々に肥大化していき、最終的には取り返しのつかない偽りへと発展していく。

目的の為には手段を選ばず清濁併呑し、驀進していく様はまさに野心の権化ともいうべきか。