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Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

黎明に起つ 伊東潤

はじめに 『黎明に起つ』は、巷間では北条早雲の名で知られる、伊勢新九郎盛時(早雲庵宗瑞)の一代記である。 黎明に起つ (講談社文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/03/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 著者には先に…

太郎坊 幸田露伴

あらすじ 主人公は丈夫づくりの薄禿の男。ある真夏の、日の傾く頃、細君に酌をして貰い、いい気分で杯を重ねていた。しかしほろ酔いになったところで、手にしていた猪口を取り落として割ってしまう。この猪口は太郎坊と呼んで大事につかっていたものであった…

京都旅行で花街「島原」に行ってきました その1

先日京都旅行に行き、寺院巡りをしてきました。 東福寺や本願寺、南禅寺などを巡る中で、西本願寺に行った際に時間に余裕ができたため、近くにある花街「島原」へと足を向けたのでした。 私が島原を知ったのは、浅田次郎新撰組三部作の二作目『輪違屋糸里』…

観画談 幸田露伴

読んで字のごとくの、画を観る談(はなし)である。 同著者の『幻談』にもみられた、五感がくらくらと揺さぶられるような、感覚が鈍ったり冴えたりというような筆致で、物語が紡がれている。 幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫) 作者: 幸田露伴 出版社/メーカー…

読書は1冊のノートにまとめなさい 完全版

読書ノートに挑戦しようか。 読書ノートというものがあるそうだ。 読書におけるインプットをより確実なものとしたり、読書履歴を検索するためのノートの事をいうようだ。 私は熟読したい本は、シャーペンや三色ボールペンで線を引きながら読む派である。 線…

『走狗』Twitterプレゼント企画に当選‼︎

伊東潤先生の公式アカウントで開催された、Twitterプレゼントキャンペーンに見事当選しました‼︎ この限定プレゼント企画はなんと、3名にしか当選しないキャンペーンです‼︎ しかも、連載当時から気になっていた作品のプレゼント企画だったので、嬉しいのなん…

Men'sファッションバイヤーが教える 「おしゃれの法則」

YouTuberのないとーさんのチャンネルである“ないとーVlog”で「2月に読んで良かった本ベスト3がこちら! - YouTube」という動画がupされていた。 YouTuberであるないとーさんは、今年100冊の本を読むことを目標にしているようで、その2月分の読書記録の報告動…

光秀の定理 垣根涼介

レンマ:定理(サンスクリット語)定理:ある理論体系において、その公理や定義をもとにして証明された命題。そしてそれ以降の、推論の前提となるもの。(例)ピタゴラスの定理 以上は『光秀の定理』単行本冒頭に掲載されていた定理の説明だ。文庫版では削除さ…

徳川がつくった先進国日本

戦国期から江戸期への変化は、徳川幕府が開府して武断政治から文官政治へと移行したというような、まるで一朝一夕になったかの如くに語られる。しかし勿論そんなはずはない。それを平易な文章で紹介しているのが『徳川がつくった先進国日本』である。 徳川が…

信長の影 所収 『浅井長政』 岡田秀文

信長の影 (双葉文庫) 作者: 岡田秀文 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2016/01/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 現在、岡田秀文著『信長の影』を読んでいる。 これはそのタイトル通り、信長を取り巻く人物を描くことで信長の影を浮き…

李陵 中島敦

高校国語で中島敦の『山月記』を読んだ人は多いであろう。斯く言う私も高校で『山月記』を読み、その格調高い文体と、古代中国を舞台にした不思議で哀しき物語に魅せられたクチである。 李陵・山月記 (新潮文庫) 作者: 中島敦 出版社/メーカー: 新潮社 発売…

高瀬舟 森鴎外

京都旅行の際、高瀬川を通り掛かった事がある。高瀬川流域には、新撰組の御用改めで有名な池田屋跡をはじめ、幕末志士の遭難地など史跡が数多くあり、私はそれらを回っていたところであった。 佐久間象山 大村益次郎 遭難之碑(後ろに流れる小川が高瀬川) …

五重塔 幸田露伴

露伴を読もうと思い立ったのは、 勝海舟の言がきっかけだ。 晩年の勝海舟(Automatic Image Colorization・白黒画像の自動色付けにより着色) 海舟の言行録『氷川清話』の中には、以下のような海舟流の小説論がある。 今の小説家はなぜ穿ちが下手だらう。諷…

手首を拾う

そして 、庭に 、この庭に降りたのだ 。月が明るかったなあ 。耿耿と照っていた 。池の縁まで行った 。水面が鏡のように滑らかで 、その艶やかな表面にも矢張り耿耿とした月が映っていた 。no.266/2646幽談<「 」談> (角川文庫)作者: 京極夏彦出版社/メーカ…

消えた伊勢物語

藤原定家の註釈が書きこんである伊勢物語の原本が 、武田信玄の寝所から消えて失くなったことが分ったのは永禄九年 (一五六六 )二月のはじめのことである。no.728/2630武田三代 (文春文庫)作者: 新田次郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア…

異説 晴信初陣記

「なにか方策があるのか 、言って見るがいい 」信虎はなかば軽蔑を面に浮べて言った 。 「このような要害にある城は尋常な攻め方をしても落ちるとは思いません 」 「なにっ ! 」信虎は晴信の意外な答え方にびっくりした 。 no.522/2630武田三代 (文春文庫)…

復讐鬼

ーーわしは一介の茶人だ。兵も武器も持たぬがゆえ、出てくる知恵があるはずだ。誰もいなくなった陣所の床几に腰掛け、村重は、いっこうに降りやまぬ雨の音を聞いていた。 p.179王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2…

重庵の転々

それからの重庵の動作のすばやさは、鬼神のようで、はじめは左右前後に飛びつつ将監の目をくらませ、やがて動きをとめ、まっすぐに押し、位押しに押しつつ跳躍し、将監の右肩を、鎖骨も肩甲骨もくだけるほどに撃ちおろした。げんにくだけた。宇八郎が撃たれ…

毒を食らわば

ーーわしはやってやる。織田家に仕える限り、毒だろうが薄濃の酒だろうが、飲み尽くしてみせる。p.103王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 『果報者の槍…

信虎の最期

「先先代様はおいくつになられるかな 」勝頼は逍遥軒に聞いた 。さようと答えて 、しばらく頭の中で父の年齢を数えていた逍遥軒は 、 「たしか八十一歳だと思います 」と言った 。勝頼の顔に一種の感動のようなものが流れた 。彼は祖父の信虎が 、なぜ追放さ…

果報者の槍

ーーわしも、この粗朶のように、あの時、一瞬の輝きを放ったのだ。新助が生涯唯一、輝いた場こそ桶狭間だった。 p.45王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る…

喧嘩草雲

草雲もまた、なみはずれた気魂をもって生れている。が、草雲のばあいは、気魂は気魂、画技は画技、武術は武術で三者ばらばらの他人であった。三つが、溶けてない。 p.159馬上少年過ぐ (新潮文庫)作者: 司馬遼太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1978/11/29…

馬上少年過ぐ

伊達政宗という、戦国人としてはひどく若年から突出したこの男が、奥州の活動家として成立してゆく基盤はことごとくこの輝宗がつくった。つくりかたが、奇妙であった。ことごとく輝宗自身がみずからえらんだ自己犠牲によっている。 p.211馬上少年過ぐ (新潮…