Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

戦国

黎明に起つ 伊東潤

はじめに 『黎明に起つ』は、巷間では北条早雲の名で知られる、伊勢新九郎盛時(早雲庵宗瑞)の一代記である。 黎明に起つ (講談社文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/03/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 著者には先に…

消えた伊勢物語

藤原定家の註釈が書きこんである伊勢物語の原本が 、武田信玄の寝所から消えて失くなったことが分ったのは永禄九年 (一五六六 )二月のはじめのことである。no.728/2630武田三代 (文春文庫)作者: 新田次郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア…

異説 晴信初陣記

「なにか方策があるのか 、言って見るがいい 」信虎はなかば軽蔑を面に浮べて言った 。 「このような要害にある城は尋常な攻め方をしても落ちるとは思いません 」 「なにっ ! 」信虎は晴信の意外な答え方にびっくりした 。 no.522/2630武田三代 (文春文庫)…

復讐鬼

ーーわしは一介の茶人だ。兵も武器も持たぬがゆえ、出てくる知恵があるはずだ。誰もいなくなった陣所の床几に腰掛け、村重は、いっこうに降りやまぬ雨の音を聞いていた。 p.179王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2…

毒を食らわば

ーーわしはやってやる。織田家に仕える限り、毒だろうが薄濃の酒だろうが、飲み尽くしてみせる。p.103王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 『果報者の槍…

信虎の最期

「先先代様はおいくつになられるかな 」勝頼は逍遥軒に聞いた 。さようと答えて 、しばらく頭の中で父の年齢を数えていた逍遥軒は 、 「たしか八十一歳だと思います 」と言った 。勝頼の顔に一種の感動のようなものが流れた 。彼は祖父の信虎が 、なぜ追放さ…

果報者の槍

ーーわしも、この粗朶のように、あの時、一瞬の輝きを放ったのだ。新助が生涯唯一、輝いた場こそ桶狭間だった。 p.45王になろうとした男 (文春文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る…

馬上少年過ぐ

伊達政宗という、戦国人としてはひどく若年から突出したこの男が、奥州の活動家として成立してゆく基盤はことごとくこの輝宗がつくった。つくりかたが、奇妙であった。ことごとく輝宗自身がみずからえらんだ自己犠牲によっている。 p.211馬上少年過ぐ (新潮…