Book review 〜春風駘蕩〜

気に入った本の書評・感想や本関連の話題を書いていきたいです。

乃木希典 福田和也

大きな仕事よりも、寧ろ人格によって、その時世に非常な貢献をする人が、三十年に一度か、六十年に一度出現することがある。 スタンレー・ウォシュバン『乃木』 乃木希典 (文春文庫) 作者: 福田和也 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/08/01 メディア:…

殉死 司馬遼太郎

構成 『殉死』は小説ではない。 二部構成で、乃木希典の人物像を浮き彫りにしようと試みた論考だ。 司馬さんは飽くまで「小説以前の覚書き」であるというが、論考と捉えて良いだろう。 第1部「要塞」では、西南戦争及び旅順攻略に焦点を当てた乃木希典の半生…

鎌倉五山巡り 浄妙寺

浄妙寺へ 鎌倉五山の内、第一位〜第四位までは北鎌倉駅周辺にあるのですが、第五位浄妙寺だけは鎌倉駅よりはるか先にあります。 浄智寺から道なりに鎌倉駅方面に向かい、鶴岡八幡宮を通り抜けてさらに先へ進みます。 鶴岡八幡宮までの道は、小学生の時の校外…

鎌倉五山巡り 浄智寺

源氏山を登る 壽福寺を後にし、暫し足を止めて地図を眺めます。 「源氏山経由で浄智寺方面に出られるのではないか?」と思い立ち、壽福寺横の源氏山に至る山道を登りました。 少し進むと、なんと太田道灌公のお墓が。 意外な出会いに喜びを覚えつつ、先へと…

鎌倉五山巡り 壽福寺

壽福寺 正治2年(1200)北条政子が源義朝(頼朝の父)の居館跡に創建した。 歩く地図鎌倉・横浜散歩 2018―古都と港町歩きの決定版! (SEIBIDO MOOK)より引用 壽福寺へ 円覚寺を後にして、また建長寺方面へと向かいます。 途中、右に折れて亀ケ谷坂を登り、山…

鎌倉五山巡り 円覚寺

円覚寺 三門・仏殿・方丈が一直線に並び、その周囲に17の塔頭が並ぶ臨済宗円覚寺派の大本山。弘安5年(1282)に8代執権の北条時宗が蒙古襲来の戦死者を弔うため、宋から無学祖元禅師を招いて創建し、鎌倉五山の第二位に列せられて大いに栄えた。 歩く地図鎌…

鎌倉五山巡り 建長寺〜半僧坊〜

半僧坊とは 境内の一番奥、約250段の石段を登った勝上献(本来、献の字に山冠)の中腹に建つ建長寺の鎮守。明治23年(1890)に静岡の奥山方広寺から勧請した半僧坊大権現をまつっている。 歩く地図鎌倉・横浜散歩 2018―古都と港町歩きの決定版! (SEIBIDO MOO…

鎌倉五山巡り 建長寺

建長寺へ スタートは北鎌倉駅です。 改札を出て、鎌倉五山第二位の円覚寺を左手に見つつ、踏切を渡り国道21号に出て鎌倉駅方面に向かいます。 そこから約15分。距離にして1km程度の所に建長寺はあります。 北鎌倉方面から行くと、駐車場を抜けて総門に向かえ…

鎌倉五山巡りをしてきました

鎌倉五山へ 近頃、全12巻の超長編小説をメインに読んでいるため、中々ブログのネタがありません。 なので、今回は先日行った鎌倉五山巡りについて書かせて頂こうかと思います。 まず、鎌倉五山巡り前に購入したガイドブック(地図)がこちら。 歩く地図鎌倉…

黎明に起つ 伊東潤

はじめに 『黎明に起つ』は、巷間では北条早雲の名で知られる、伊勢新九郎盛時(早雲庵宗瑞)の一代記である。 黎明に起つ (講談社文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/03/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 著者には先に…

太郎坊 幸田露伴

あらすじ 主人公は丈夫づくりの薄禿の男。ある真夏の、日の傾く頃、細君に酌をして貰い、いい気分で杯を重ねていた。しかしほろ酔いになったところで、手にしていた猪口を取り落として割ってしまう。この猪口は太郎坊と呼んで大事につかっていたものであった…

『城をひとつ』発売記念講演に参加してきました

小田原城銅門での講演会に参加 2017年4月1日(土)に伊東潤先生の『城をひとつ』発売記念講演が小田原城銅門(あかがねもん)内で行われました。講演後はサイン会も開催され、『城をひとつ』に印判入りの直筆サインをいただきました。 講演会の模様は2017.04…

京都旅行で花街「島原」に行ってきました その2

置屋と揚屋とは 本ブログは京都旅行記のその2です。 その1はこちら↓ 京都旅行で花街「島原」に行ってきました その1 さて島原大門を潜り、島原の地へと足を踏み入れ、置屋「輪違屋」、揚屋「角屋」を見学してきました。 見学と言っても、輪違屋は現在お茶屋…

京都旅行で花街「島原」に行ってきました その1

先日京都旅行に行き、寺院巡りをしてきました。 東福寺や本願寺、南禅寺などを巡る中で、西本願寺に行った際に時間に余裕ができたため、近くにある花街「島原」へと足を向けたのでした。 私が島原を知ったのは、浅田次郎新撰組三部作の二作目『輪違屋糸里』…

観画談 幸田露伴

読んで字のごとくの、画を観る談(はなし)である。 同著者の『幻談』にもみられた、五感がくらくらと揺さぶられるような、感覚が鈍ったり冴えたりというような筆致で、物語が紡がれている。 幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫) 作者: 幸田露伴 出版社/メーカー…

読書は1冊のノートにまとめなさい 完全版

読書ノートに挑戦しようか。 読書ノートというものがあるそうだ。 読書におけるインプットをより確実なものとしたり、読書履歴を検索するためのノートの事をいうようだ。 私は熟読したい本は、シャーペンや三色ボールペンで線を引きながら読む派である。 線…

『走狗』Twitterプレゼント企画に当選‼︎

伊東潤先生の公式アカウントで開催された、Twitterプレゼントキャンペーンに見事当選しました‼︎ この限定プレゼント企画はなんと、3名にしか当選しないキャンペーンです‼︎ しかも、連載当時から気になっていた作品のプレゼント企画だったので、嬉しいのなん…

Men'sファッションバイヤーが教える 「おしゃれの法則」

YouTuberのないとーさんのチャンネルである“ないとーVlog”で「2月に読んで良かった本ベスト3がこちら! - YouTube」という動画がupされていた。 YouTuberであるないとーさんは、今年100冊の本を読むことを目標にしているようで、その2月分の読書記録の報告動…

光秀の定理 垣根涼介

レンマ:定理(サンスクリット語)定理:ある理論体系において、その公理や定義をもとにして証明された命題。そしてそれ以降の、推論の前提となるもの。(例)ピタゴラスの定理 以上は『光秀の定理』単行本冒頭に掲載されていた定理の説明だ。文庫版では削除さ…

徳川がつくった先進国日本

戦国期から江戸期への変化は、徳川幕府が開府して武断政治から文官政治へと移行したというような、まるで一朝一夕になったかの如くに語られる。しかし勿論そんなはずはない。それを平易な文章で紹介しているのが『徳川がつくった先進国日本』である。 徳川が…

7net直筆サイン本フェア開催 買うか迷うΣ(-᷅_-᷄๑)

7netで数量限定 直筆サイン本フェアが始まりました。3/1,3/3,3/10の正午にそれぞれ発売開始のようです。 私は収集癖があるためか、サイン本が好きで見かけると衝動買いしてしまうことが多いです。 書店でサイン本を見かける事は多いですが、大手のネットショ…

信長の影 所収 『浅井長政』 岡田秀文

信長の影 (双葉文庫) 作者: 岡田秀文 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2016/01/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 現在、岡田秀文著『信長の影』を読んでいる。 これはそのタイトル通り、信長を取り巻く人物を描くことで信長の影を浮き…

李陵 中島敦

高校国語で中島敦の『山月記』を読んだ人は多いであろう。斯く言う私も高校で『山月記』を読み、その格調高い文体と、古代中国を舞台にした不思議で哀しき物語に魅せられたクチである。 李陵・山月記 (新潮文庫) 作者: 中島敦 出版社/メーカー: 新潮社 発売…

高瀬舟 森鴎外

京都旅行の際、高瀬川を通り掛かった事がある。高瀬川流域には、新撰組の御用改めで有名な池田屋跡をはじめ、幕末志士の遭難地など史跡が数多くあり、私はそれらを回っていたところであった。 佐久間象山 大村益次郎 遭難之碑(後ろに流れる小川が高瀬川) …

五重塔 幸田露伴

露伴を読もうと思い立ったのは、 勝海舟の言がきっかけだ。 晩年の勝海舟(Automatic Image Colorization・白黒画像の自動色付けにより着色) 海舟の言行録『氷川清話』の中には、以下のような海舟流の小説論がある。 今の小説家はなぜ穿ちが下手だらう。諷…

雪信花匂

清原雪信。 狩野探幽四天王の一人である久隅守景の娘である、狩野派の閨秀画家。短編集「乾山晩愁」の中で唯一の女性主人公だ。 私は以前サントリー美術館で開催された、「逆境の絵師 久隅守景展」において久隅守景の絵と、本作主人公の清原雪信の絵を鑑賞し…

等伯慕影

桃山時代、常に画壇のトップに在り続けた狩野派を一時脅かした画人がいる。 それが、本作の主人公 長谷川等伯 だ。物語の等伯は他人を顧みず、自分の信じた画業に邁進する人物として描かれている。 「等伯慕影」は同短編集に収録されている「永徳翔天」と時…

永徳翔天

戦国期の絵師、狩野永徳。 狩野派は、初代正信の時代に室町幕府の御用絵師となり名声を高めた。その後も時の権力者に仕え、永徳の時代には織田信長に仕えている。そして、江戸期には再び幕府の御用絵師として権勢を奮う。 物語は織田信長が将軍足利義昭を奉…

乾山晩愁

尾形光琳の弟であり、陶工かつ絵師。尾形乾山。 乾山の人生は、光琳の死を契機に暗転し始める。それはさながら、今までの足跡は光琳あってのものだったという事実を、世間から突きつけられたも同然であった。そして乾山は、光琳と赤穂浪士討ち入り事件との意…

「虚談」 ベンチ

記憶の中のおじさんのはなしである。 主人公は、昔にとある交流をもったおじさんの事を思い出す。自分以外には母親以外“おじさん”を記憶している人はもう亡くなっている。ましてや子供時代の記憶なので、時期などはうろ覚えになりそうだ。しかし「宇宙猿人ゴ…